ケンケン(以下K)「むーちゃんは被写界深度プレビュー機能を使った事あるかい?」

むーちゃん(以下M)「え?被写界深度って、ピントが合って見える範囲の事ですよね?」

K「そうじゃな、被写界深度は絞りを絞るほどピントの合って見える範囲が増えるのじゃが、実際に撮ってみるまでは、どこからどこまでピントが合っているのかわからないじゃろう?」

M「そう言われれば、いくら被写界深度を稼ぎたくて絞りを絞っても、ファインダーライブビュー(背面液晶画面)中のピントが合って見える範囲は全く変わらないですね」

K「それは当然で、レンズの絞りが実際に設定した絞り値まで絞られるのは、シャッターを切った瞬間だけなんじゃよ」

M「ええ!そうなの?」

K「いくら絞りを絞っても、ファインダーやライブビューで見ている像は、レンズが絞りを一杯開いた解放の状態なのじゃ」

M「ええ!それじゃどうやってピントの合って見える範囲を知ることができるの?」

今は無き「被写界深度目盛」

K「オートフォーカスが全盛ではなかった頃のレンズには「被写界深度目盛」という目盛が印刷されていたのじゃよ」

M「へぇ~今は見たことないですね」

K「とても便利な目盛で、F8まで絞るとここからここまで、F11まで絞るとここからここまで……と言うように、絞りごとにピントが合う範囲がレンズの距離目盛上で一目でわかるようになっていたのじゃ」

M「それは便利ですね。ヒントを合わせたい範囲が決まっていれば、その目盛を使って一発で絞り値が決められますね」

K「そうじゃ、パンフォーカス(全面にピントを合わせる)時の絞りと、ピントを合わせる位置の距離も一目でわかったのじゃよ」

M「そんな便利な「被写界深度目盛」が無くなったら、どうやってピントが合って見える範囲がわかるんですか?」

「被写界深度プレビュー機能」を使おう

K「取扱説明書やメーカーのサイトで被写界深度のデータを調べてみるのじゃ。それでもなければ、計算式に当てはめて調べるか「被写界深度プレビュー機能」を使って目で確かめるかのどちらかじゃな」

M「撮影中にいちいち計算してられません(笑)」

K「だから、そういう時に「被写界深度プレビュー機能」をつかうのじゃよ。使い方は簡単で、こうやって「被写界深度プレビューボタン」を押すだけじゃよ」

M「うわぁ!真っ暗になったじゃないですか?」

K絞りを一段絞るごとに、レンズを通る光の量は半分ずつ減るからのう……この暗い状態が、実際に撮影される時と同じ絞り値まで絞り込まれた状態じゃよ」

M「こんなに暗いとは……でも、確かにピントが合う範囲がリアルにわかりますね」

K「いつもファインダーやライブビューがこんなに暗いとピント合わせや構図が決めにくいじゃろう?だから、通常は絞り開放のレンズの一番明るい像が見れるようになっているのじゃよ」

M「なるほど……よく考えられてますね」

「被写界深度プレビュー機能」はピントとボケ具合の両方が確認出来る

K「こうやって被写界深度プレビューボタンを押した状態で、ピントの合って見える範囲や、ぼけたところのボケ具合を確認するのじゃ」

M「被写界深度が足りなければもっと絞り込まなくてはならないとか、ボケ具合が足りなければ絞りを開けてもっとぼかすとかですね……」

K「そのとおりじゃ「被写界深度プレビュー」はピントの合う範囲だけではなく、ぼかしたいところのボケ具合も確認出来るのじゃよ」

M「ピントの調整をフォーカスリングではなく、絞りダイヤルでするって不思議な感覚ですね(笑)」

K「被写界深度プレビュー」は、パンフォーカス(全面にピントを合わせる)や、ピントが極端に浅いクローズアップ撮影には欠かせない機能じゃな」

M「でもケンケン、被写界深度は撮った画像を見ながら調整するのはダメなの?」

K「ダメではないが、かなり面倒じゃぞ。通常レンズには6段前後の絞り値があって、1/21/3ステップの絞り値を加えると、その23倍の絞りとシャッタースピードの組み合わせができるのじゃ」

M「ふむふむ……」

K「それらの組み合わせでそれぞれ撮りながら写界深度を見て判断するのなら、シャッターを切る前に「被写界深度プレビュー」で絞り値を決めた方が早くて楽じゃろう」

M「確かにそうか……」

K「ただ、「被写界深度プレビュー」しなくて良い時もあるのじゃよ」

M「へぇ、どんなとき?」

被写界深度プレビューしなくて良いとき

  • 絞り開放(一番小さな絞り値)で撮ると決めているとき
  • ピントを合わせたい被写体が平らで、それに対してカメラ(イメージセンサー)面が平行な時

K「絞り開放で撮る時は絞りを一杯開いている状態なので「被写界深度プレビューボタン」を押しても何の変化もないじゃろう」

M「ああ、そうですね(笑)」

K「それと、ピントを合わせたい被写体が平らで正面から撮るなら、奥行きがないので被写界深度を確かめる程でもないのじゃ」

M「なるほど……でも、こんな実用的な機能があるなんて、知りませんでした。」

むーちゃんの上達のポイント

  • ファインダーやライブビュー(背面の液晶画面)では、被写界深度はわからない。
  • ファインダーやライブビューの像は、レンズの絞りを一杯開いた解放の状態である。
  • 「被写界深度プレビュー」機能が働いている時は、設定した絞り値まで絞り込まれた状態。
  • 「被写界深度プレビュー機能」はピントとボケ具合の両方が確認出来る。
  • 「被写界深度プレビュー機能」は、パンフォーカスやクローズアップ撮影に有効。
  • 確実に「被写界深度プレビュー」しなくて良い時もある。