むーちゃん(以下M)「近くから遠くまではっきり写って見える写真を撮りたいんですけど、ピントはどこに合わせるのが正解なの?」

ケンケン(以下K)「パンフォーカス撮影時のピント位置の事じゃな。カメラの近くから遠くまで全面にピントを合わせたいときも、被写体やテーマによりどこにピントの合わせ方が違うのじゃ」

M「そうでしたね、ピントが全面に合って見える写真をパンフォーカスと言うんでしたね」

Kパンフォーカスをつくる時の撮影条件は覚えてるかな?」

M「えーと、たしか……広角側の数字の小さいレンズで、絞りは絞って数字を大きくして撮るんでしたね」

被写界深度は、ピントを合わせた位置から手前に浅く、奥に深い

K「そうじゃな……その時にピントが合って見える範囲(被写界深度)は、ピントを合わせた位置から、手前に浅く、奥に深い」という事を覚えていたかな?」

M「あ!そうでしたね。思い出しました」

K「その比率は手前と奥で1対2と言われておるのじゃ」

M「ん?ということは、ピントを合わせたい被写体の手前から1/3の位置にピントを合わせると、一番ピントが合って見える範囲(被写界深度)が稼げるということ?」

K「よくわかったね、そのとうりじゃよ。真ん中の位置にピントを合わせると、フォーカス位置が少し前にずれていることになるのじゃ」

集合写真は、前列から1/3の列にピント合わせ

M「なるほど……そうなのか。じゃあ、集合写真のように全員の顔がピンぼけにならない様に写す時は、一番手前の人から一番奥までの人までを3等分して、手前から1/3の人辺りにピントを合わせるのが良いの?」

K「凄いな!むーちゃん正解じゃよ。集合写真が5列なら真ん中の3列目ではなく、前から2列目の人にピントを合わせると良い言うことじゃな」

風景写真のピント位置は?

M「えへへ、冴えてるでしょう?じゃあ風景写真の時は、一番向こうの山まで20kmだったら7kmの位置でピントを合わせればバッチリってことね(笑)」

K「おいおい、ちょっと待ちんしゃい!むーちゃんの言っている風景写真と言うのは、地平線や水平線まで続く遠景の事じゃないのかな?」

M「そうですケンケン。アメリカの砂漠地帯のどこまでも続く1本道や線路、砂浜から水平線まで続く一面海の風景……今までは何も考えずに地平線や水辺線にピントを合わせていたけど、これからはカメラから1/3のところにピントを合わせます」

カメラから1/3の距離をどうつかむ?

K「って、むーちゃんはカメラから1/3とか7kmとか、ファインダーライブビューの液晶画面で分かるの?」

M「ああそうか……確かに7kmはどの辺りかわからないな(笑)でも、カメラから1/3ならファインダーやライブビューの真ん中のちょい下でわかります」

K「実はね、むーちゃん。カメラから1/3の距離というのは、ファインダーやライブビューの真ん中のちょい下ではないのじゃよ」

M「え!どうして?」

K「ファインダーやライブビューというのはレンズを通した像を見ているのじゃよ。つまり、レンズの画角の誤差で手間のモノが大きく映り、実際の距離と違って見えるのじゃよ」

M「というと?」

K「まず、空を外して一番遠くに見える部分を画面の一番上にくるようにフレーミングして、ピントは画面の手前1/3でも真ん中でもなく、真ん中より少し上に合わせるのじゃ」

M「え?どういうこと?」

K「そこが実際カメラから1/3の距離なのじゃ」

M「んーーー真ん中の下の辺りじゃなく上なのか……」

テーマのある被写体は、そこにピント合わせ

K「ところで、パンフォーカスなら何でも手前1/3の位置にピントを合わせるのが正解だとは限らないのじゃよ」

M「というと?」

K人物や花や乗り物など明らかにテーマがある写真は、今までどおりそのテーマの部分にピントを合わせるのが鉄則なのじゃ」

M「普通のピント合わせと同じで良いの?」

K「そうなのじゃ。そして、被写界深度は絞りを絞り込んで(数字を大きくする)深くするのじゃ」

M「ああ、そうか……パンフォーカスと言ってもピントの合う位置は1点で、あとは被写界深度を深めてピントが合っているように見える範囲を広げているのでしたね」

K「だから、ピントはあくまでも一番大切な1点に合わせるということじゃな」

M「はーい、よくわかりました」

ケンケン直伝!上達のためのアドバイス

  • パンフォーカスでも、被写体によってピントの合わせ方が異なる。
  • 被写界深度は、ピントを合わせた位置から手前に浅く奥に深い。その比率1対2。
  • 被写界深度を最大に稼ぐときは、被写体から1/3の位置にピントを合わせる。
  • ファインダーやライブビュー上では、カメラから1/3の距離は真ん中より少し上の位置。
  • パンフォーカスと言っても、ピントの合っている位置は1点のみ。
  • パンフォーカスは、被写界深度を利用して全面ピントが合っているように見せかけている。
  • テーマのある写真は、その被写体にピントを合わせる。