「ISO感度」とは、カメラが光を感じる度合いを表した数値
むーちゃん(以下M)「カメラの設定に「ISO感度」と言うのがあるんですけど、これはどういう時に使うの?」
ケンケン(以下K)「ISOは国際標準化機構のことで、そこで定められた「カメラが光を感じる度合いを表した数値」なんじゃよ」
M「なんだか、難しいですね。読み方は「イソ」でいいの?」
K「「アイソ」とか「アイエスオー」と呼ぶ人もいるけど、「イソ」で良いじゃろうな」
M「なんだか、お婆ちゃんの様な名前ですね(笑)」
K「フィルム時代はずっとASA(アーサー)というアメリカの規格で表示されていたのじゃが、いつの間にやらISOで統一されてしまったんじゃよ」
M「呼び名が変わっても中身は同じなんですよね?」
K「まったく同じじゃよ」
M「驚いたのは、カメラも生き物みたいに光を感じる度合いが変わるんですか?」
K「面白い所に気づいたね。人間も眩しい砂浜から暗い洞窟に入ると、真っ暗で何も見えないじゃろう?でもしばらくすると、目が慣れて周りが見えるようになってくるはず……」
M「目が慣れてくるけど、明るい所みたいに良く見えないですよね?」
K「カメラも全く同じじゃよ。暗くて写真が写らないときは、ISO感度の数字を上げてやると暗いところも写るんじゃがな……」
M「写るけど何なの?」
K「人間と同じで、明るい所と同じように綺麗には写らないのじゃよ」
M「どうなるの?」
ISO感度を上げるほどノイズが増える
K「ISO感度の数字を上げれば上げるほど暗いところは写るけど、それに比例して写真にノイズが増えてくるんじゃよ」
M「良いことばかりじゃないんですね……どうしてなの?」
K「イメージセンサー(撮像素子)の信号を増幅するからじゃよ」
M「感度を上げて増幅するほど、見えなかった小さなノイズも一緒に増幅されて見えてくるの?」
K「そのとおりじゃよ。だから、ノイズと引き替えに、暗いところの撮影条件が良くなると覚えておくと良いのじゃ」
M「具体的にどんな条件が良くなるの?」
K「フラッシュが無くても撮れるようになったり、夜景や星空など暗くてあきらめていたシーンでも撮れるんじゃよ」
M「魔法のようですね」
K「それだけではなく、ISO感度を上げたぶん早いシャッター速度が使えるので、手ブレや被写体ブレが防げるのじゃ。特に三脚が無いときは便利じゃな。ほら、この表を見るとわかりやすいのじゃ」
「ISO感度」と「シャッタースピード」と「絞り」の関係
絞り値 | ISO100 | ISO200 | ISO400 | ISO800 | ISO1600 | ISO3200 |
---|---|---|---|---|---|---|
F2.8 | 1/125 | 1/250 | 1/500 | 1/1000 | 1/2000 | 1/4000 |
F4 | 1/60 | 1/125 | 1/250 | 1/500 | 1/1000 | 1/2000 |
F5.6 | 1/30 | 1/60 | 1/125 | 1/250 | 1/500 | 1/1000 |
F8 | 1/15 | 1/30 | 1/60 | 1/125 | 1/250 | 1/500 |
F11 | 1/8 | 1/15 | 1/30 | 1/60 | 1/125 | 1/250 |
F16 | 1/4 | 1/8 | 1/15 | 1/30 | 1/60 | 1/125 |
M「なるほど……ISO感度一段は、きっちりと絞りとシャッタースピードの1段分に相当するんですね」
K「良いところに気づいたね。「ISO感度」は「絞り」と「シャッタースピード」と同じく「露出を決める3つの要素」のうちの1つなんじゃよ」
M「でも、便利なぶん写真にノイズが入るんですよね?」
K「そのとおり!画質を取るか撮影環境を取るか男の選択じゃな」
M「ケンケン大げさ(笑)女の私はどうすればいいの?」
K「そういう時のために、カメラが自動的にISO感度を選択してくれる「ISOオート」という機能もあるのじゃ」
M「私はそういう成り行き任せの写真がいやなんです(笑)」
K「今日はヤケに積極的じゃな。じゃあ、むーちゃんのためにISO感度のおおよその設定基準を表にしてあげよう」
ISO感度の設定目安
ISO | 感度 | 設定の目安 |
---|---|---|
100 | 低感度 | 晴天や眩しく感じる時 |
200 | 低感度 | 薄曇りの時(これ以下設定出来ないカメラもある) |
400 | 低感度 | 曇りや小雨の時 |
800 | 高感度 | コンサートやナイター、室内撮影や雨の時 |
1600 | 高感度 | 夜の街灯りでの撮影 |
3200 | 高感度 | 画質を犠牲にしてまで撮影したい時(これ以上設定出来るカメラも多い) |
M「なるほど……これを参考にすればいいのか……」
K「まずは絞りかシャッター速度を優先して決めて、撮影条件が厳しいようならISO感度を一段ずつ上げて行けばよいのじゃ」
M「そうか……そうすれば無駄にノイズを増やさずに済みますね」
K「ISO400までを「低感度」、それ以上を「高感度」と呼んでいるが、最近はどのカメラでISO400まではノイズが気にならないのじゃよ。機種によってはそれ以上のISO感度でもノイズが目立たないものもあるのじゃ」
M「高感度特性に強いカメラとはその事ですね」
K「今後技術の進歩と共に、ノイズはドンドン減っていくだろうね」
M「どこまで暗闇が撮れるようになるのか楽しみです」
ノイズリダクション
K「今日は積極的なむーちゃんのために、ノイズを減らす方法を1つ教えてあげよう」
M「お!そんなの知ってるなら、もったいぶらずに早く教えてくださいよ」
K「実は「ノイズリダクション」という機能があるんじゃよ。この機能が使えるのはカメラの設定と、RAWデータで撮影した後の現像ソフト上の二カ所じゃよ」
M「じゃあ最初からそれをMAXにして撮ればいいのでは?」
K「ところじゃがな、これもノイズを減らすのと引き替えに画像のシャープさを奪われてしまうのじゃよ」
M「なんだか、またどっちをとるか天秤にかけるみたいですね」
K「でも、シャープさよりも肌の滑らかさが求められるポートレートなんかには使えそうじゃな」
M「ああ、そういう風に考えて決めればいいのか……」
ノイズを生かす
K「ところで発想を逆転して、ノイズは悪者と決めつけずに見方にする撮影テクニックもあるのじゃ」
M「ええ!どういう事?」
K「高いISO設定にして、高感度フィルムで撮影した様なざらついた印象をつくるのじゃ。暗い環境を強調したり、臨場感を演出できるのじゃよ」
M「そういう写真何度か見た事あります。確かに暗いところで撮った感じが伝わってきますね」
K「写真は選択の連続の世界だからな……ISOの感度設定もその一つじゃな」
M「そこが又楽しいのです!」
ケンケン直伝!上達のためのアドバイス
- 「ISO感度」とは、カメラが光を感じる度合いを表した数値である。
- 「ISO感度」は、露出を決める3つの要素のうちの1つである。
- ISO感度1段は、絞りとシャッター速度それぞれ1段に相当
- ISO感度を上げると、シャッタースピードがかせげる。
- ISO感度を上げると、それに比例してノイズが増える。
- ISO感度設定に迷ったら、「ISOオート」機能を使う。
- ISO400まではノイズは気にしなくても良い。
- ノイズが気になるなら「ノイズリダクション」機能を使ってみる。
-
高感度設定でわざとノイズを出し、作風に生かす演出テクニックもある。