むーちゃん(以下M)「今日はファインダー対決ですか?(笑)」
ケンケン(以下K)「ファインダーは思ってる以上に撮影に影響するモノなのじゃよ。撮影者は被写体を観察しながら撮るけど、大半の時間はファインダー越しに被写体を見ながら撮影しているのじゃ」
M「そう言われると私もそうですね。今ではもうファインダーの付いていないカメラには戻れませんね」
K「そうじゃろうな……ところで、ファインダーにはどんな種類があったか覚えてるかな?」
M「えーーーと、確か一眼レフカメラに付いているような「光学式ファインダー(OVF)」とミラーレス一眼に付いているような「電子ビューファインダー(EVF)」でしたよね?」
K「そのとおりじゃな。良く覚えていたね。それでは今日は「光学式ファインダー(OVF)」について詳しく見ていくのじゃ」
光学式ファインダー(OVF)は二つのタイプがあった
M「そもそも「光学式ファインダー(OVF)」って何なんですか?」
K「電子ビューファインダー(EVF)に対して、ファインダーレンズやミラーやプリズム等を使って光学的に像を見る事ができるファインダーじゃよ」
M「んーーーということは、一眼レフカメラ以外にも「光学式ファインダー(OVF)」ってあるの?」
K「そこが今日のテーマじゃな。実は二つあるのじゃ」
- 一眼レフタイプのレフレックスファインダー
- 実像タイプのビューファインダーやレンジファインダー
M「一眼レフタイプのレフレックスファインダーというのはわかるけど、「実像タイプのファインダー」というのはどんなの?」
K「実像が見えるファンダーじゃが、簡単に言うと撮影レンズとは別にファンダーレンズを備えているカメラのファインダーじゃな」
M「ひょっとして昔のコンパクトカメラに付いていたようなファインダー?」
K「確かに最近のコンパクトカメラは、ライブビューに置き換わってファインダーが消えてしまったからな……昔は価格の高いカメラは一眼レフで、安いカメラには「ビューファインダー」が付いていたのじゃよ」
M「今はあまり見かけませんね」
K「そうじゃな、今は状況が一転してLEICA(ライカ)MシリーズやFUJIFILM X-PRO等の高級機に「レンジファインダー」として使われているのじゃよ」
M「ええ!いったいどういう事?(笑)」
K「レンジファインダーとは、ファインダー上でピント合わせが出来るようにビューファインダーに距離計が付いたものじゃよ」
M「へぇ〜私はまだレンジファインダーというモノを見たことがないな……」
実は虚像を見ている、一眼レフタイプの光学式ファインダー
K「その前に「一眼レフタイプの光学式ファインダー」について説明しておくのじゃ。「レフレックスファインダー」は、撮影レンズを通った画像をミラーやプリズムで屈折させながらファインダーに虚像で表示させているのじゃ」
M「うんうん!だからレンズを交換したときもファインダーで見える世界も変わりますよね」
K「超広角レンズから超望遠レンズまでの全ての交換レンズと、高倍率のズームレンズも一眼レフのレフレックスファインダーだと対応出来るのじゃよ」
M「そのかわりカメラは大きいし、値段も高いですよね(笑)」
K「そうじゃな……それと、撮影の瞬間にミラーが跳ね上がり、その間ファンダー画像が見えなくなるのが欠点じゃな。とりあえず特徴をまとめておくのじゃ」
「一眼レフカメラのレフレックスファインダー」の特徴
- 撮影レンズを通った画像を虚像で見ることができる。
- 写る画像と写る範囲を直接確認出来る。
- 全ての交換レンズにファインダーが対応出来る。
- 撮影の瞬間にミラーが跳ね上がり、その間ファインダー画像が見えなくなる。
一癖も二癖もある「実像タイプのファインダー」
M「じゃあ、「実像タイプのファインダー」はどうなの?」
K「一癖も二癖もあるのじゃ(笑)まず大きな欠点は「パララックス(視差)」という撮影範囲のズレが生じるのじゃよ」
M「ええ!それってファインダーで見たとおりに写らないって事?」
K「一眼レフタイプとはファインダーで見る画像が別物なのじゃよ。「実像タイプのファインダー」は、撮影レンズとは別の場所に設けてあるファインダーレンズを通った画像を見るのじゃ」
M「ああ、本当だ!撮影レンズの上に小さなレンズが付いてますね。ここからの画像を見てるのね」
K「そのとおりじゃよ。写るレンズと見るレンズの位置が違うので、写る範囲と見えてる範囲が若干ずれるのじゃ。それがパララックス(視差)の原因じゃよ」
M「一眼に慣れてる人は不便ですね」
K「パララックス(視差)は、撮影距離が近くなるほど撮影範囲のズレが大きくなるのじゃよ。それを補正するためにパララックス補正フレームという専用枠も付いているのじゃ」
M「確かに一癖も二癖もあるもありますね(笑)それなのにどうしてLEICA(ライカ)のような高級カメラに付いているの?」
K「よくぞ聞いてくれたね!ここからが本番じゃ(笑)実は一眼レフタイプのファインダーが逆立ちしてもできない、次にあげる大きな二つの特徴があるのじゃ!」
「実像タイプのファインダー」の二大特徴
- 実際に写る範囲のさらにその外側が見える
- いつでもどこでもパンフォーカスで見える
M「なるほど!それって凄い事かも(笑)」
K「多くの「一眼レフカメラのレフレックスファインダー」は実際に写る範囲の周辺が欠けて見えるのじゃが、「実像タイプのファインダー」は実際に写る範囲よりもファインダーで見える範囲の方が広いのが特徴なのじゃ」
M「確かに一眼レフカメラで撮影した写真は、ファインダー上では見えなかった周辺部が写り込んでますよね。それが実際に写る範囲よりも、ファインダーで見える範囲が狭いということなんですね」
K「そのとおりじゃ。一部のファインダー視野率100%の高級一眼レフカメラだけは、撮れる写真とファインダーを覗いて見える範囲が同じゃがな」
M「実際写る範囲のさらにその外側が見えると何のメリットがあるの?」
K「例えば子どもやペットのような動きの激しい被写体の撮影には、被写体をファインダー上から見失う「ブラックアウト」を起こしにくいのじゃよ」
M「なるほど……で、次のいつでもどこでもパンフォーカスというのは?」
K「一眼レフのファインダーだと絞り開放状態の撮影レンズを通った画像を見ているので、レンズの被写界深度の外はピントがぼけて見えるのじゃ。それを利用してファインダー上でピント合わせをするのじゃがな……」
M「でも今はオートフォーカスでしょう(笑)」
K「でも人間の眼はそうではないのじゃ。いかなる時でも脳が調整してくれて、視界全部のピントが合って見えているようになっているのじゃよ」
M「つまり「実像タイプのファインダー」は人間の眼に近い見え方をすると言いたいのね(笑)」
K「そのとおりじゃ!これらの二つの特徴を上手く生かして撮る撮影があるのじゃよ」
M「あ!それってスナップ撮影じゃない?」
K「え!よくわかったね(笑)実際にビューファインダーやレンジファインダーは、ファインダーを覗いて周りの状況を観察しながら瞬間を切り取る様なスナップ撮影に最適なファインダーなのじゃよ」
M「それでLEICA(ライカ)のような高級カメラに付いているんですね」
K「そうじゃよ。それにしてもLEICA(ライカ)が欲しいのじゃ……」
むーちゃんが知ってしまった「実像タイプのファインダー」のクセ
- 写る範囲と見える範囲のズレ(パララックス)が発生する。
- 「パララックス(視差)」は撮影距離が短いほど大きくなる。
- 超広角レンズや、超望遠レンズには対応出来ない。
- 同じく高倍率ズームにも対応出来ない。
- 実際に写る範囲のさらにその外側が見える。
- いつでもどこでも全面ピントが合って見える。
- 被写体への追従性が高い。