ゼブラパターン

 

露出補正しないと、白いモノはグレーに写る

むーちゃん(以下M)「せっかく寒い中頑張って撮影したのに、どういうワケか雪が全部灰色に写ってるんです。カメラの露出計が壊れたのかな?」

ケンケン(以下K)「いやいや、むーちゃん。露出計が壊れてないから、雪が灰色に写ったのじゃよ」

M「ええ?どういうこと?」

Kカメラに内蔵されている露出計は「反射光式露出計」といって、被写体に反射してカメラに跳ね返ってきた光の強さを測る露出計なのじゃ」

M「それが雪が灰色に写るのと何の関係があるの?」

K「ところが実際は、被写体の色により反射率がそれぞれ異なるのじゃよ」

M「つまり光が反射する度合いが被写体ごとにばらばらと言う事ね?でも、どうしてそれで雪が灰色に?」

K「それはカメラが雪を撮っていると知らないからじゃよ」

カメラは、何を撮ってるのか知らないまま記録している

M「ああそうか……カメラは画像を記録するクセに、自分では何を撮ってるのか知らないんでしたね」

K「だから被写体の色もわからないし、色がわからないから反射率もわからない……」

M「そんなんで露出が測れんの?」

K「仕方がないので、どんな被写体でも「なんでもかんでも標準反射版(人肌に近い18%の反射率)の被写体を撮っていることにしましょう」というルールを作ったんじゃよ」

M「ええ!そうなの?実際その標準反射版を撮ってない時はどうなるの?」

K「それが、まさしくむーちゃんが雪を撮った時の状況なのじゃ……」

しかたないので、撮影者が勘で露出補正する

M「そんな事言ってたら、人肌に近い18%の反射率のモノしか撮れないでしょう(笑)」

K「なので実際の被写体が18%の反射率からかけ離れると、その都度勘で露出補正してやる必要があるのじゃよ。特に被写体が18%の反射率から大きくずれて、白や黒に近づくほど露出補正の量が大きくなるのじゃ」

M「まさしく、それが私が白い雪を撮った時の状況だったのですね。それで露出補正しなかったから、白い雪がグレーになったのか……」

K「そのとおりじゃよ。露出補正しないと、白いモノも黒いモノも18%の反射率のグレーに写ってしまうのじゃ」

M「そんなこと言ったって、経験が少なくて勘の働かない私は……勘で補正して撮っては結果を見ては、又補正して撮り直すしかないの?」

K「さてさて!そこでじゃな、ここからが今回の本題じゃよ……」

経験と勘が無くても、白いモノが白く撮れる方法

M「随分と長い前置きでしたね(笑)」

K「前置きと言わずに、復習と言いなさい(笑)。ところで一番正確なのは「入射光式露出計」を使う事じゃよ」

M「ああ……あのピンポン球が付いてる露出計ね」

K「「入射光式露出計」を使えば、、反射前の光そのものの強さが測れるので、被写体の反射率に影響されないのじゃよ」

M「でも高校生の私にとっては高価だし……光の状態は場所によって違うので、いちいち被写体の場所に行ってから測光しないといけないでしょう?」

K「そう言うと思って、今日はむーちゃんのカメラにも付いている、ある機能を使ってできる裏技を教えてあげよう」

M「なんだ……まだ前置きだったのか。やっと本題ね(笑)」

露出補正量は、シマウマに教えてもらおう!

K「むーちゃん、「ゼブラパターン」って知ってるかな?」

M「ゼブラってシマウマ?」

K「ゼブラというのは、設定した輝度レベルの箇所をシマウマのパターンで表示してくれる機能じゃよ」

M「また難しい言葉が出て来ましたね。「輝度レベル」とは?」

K輝度とは元々はビデオ撮影の用語じゃが、簡単じゃよ。ある面からどれくらいの光が発せられているかという意味じゃよ」

M「反射率とはちょっと違うのね」

K輝度レベルは%で設定するのじゃが、100%が白飛びするレベルなのじゃよ」

M「ん?白飛びって?」

K「カメラが記録できる明るさを超えて、情報が何も記録されなかったことじゃよ」

M「ああ!ハイライト警告の時に習ったアレね」

K「そうじゃ、白飛びしてはNGなので「輝度レベル95%」に設定するのじゃ。そうして雪の部分にゼブラパターンが表示されるところまで、露出補正ダイアルをプラス方向に回すのじゃ」

M「なるほど!これだと勘に頼らずに、白いモノが白飛びせずに白く写りますね」

K「調子に乗って補正しすぎると白飛びするので、ゼブラパターンが表示された箇所で補正はストップじゃぞ(笑)」

M「教えてもらう度に思うけど、私のデジカメってまだまだ便利な機能が眠ってるんですね……」

むーちゃんが復習した露出補正のコト

  • 白いモノと黒いモノが灰色に写るのは故障ではない。
  • カメラ自身は、被写体もその反射率もわからない。
  • だから撮影者が露出補正してやる必要がある。
  • 露出補正には経験と勘が必要である。
  • 入射光露出計で測れば、露出補正は必要なし。
  • 私はそんなもの高くて買えない。
  • だからシマウマに露出補正量を教えてもらう。