むーちゃん(以下M)「えー、今日もややこしい質問なんですが、デジカメ画面の比率ってたくさんあるじゃないですか……」
ケンケン(以下K)「むーちゃんは、写真のアスペクト比の事をいっておるのじゃな」
M「はいそうです。正方形の1:1とかパノラマの16:9は別として、似通った3:2と4:3はどっちで撮った方が良いんですかね?」
K「そうか、今のデジイチやコンパクトカメラは、自分の好きなアスペクト比を選べるようになっているからのう……」
M「そうなんです。ネットで調べて見ても3:2が良いとか、4:3が良いとか意見はバラバラなんです」
実は、大多数の人が3:2のアスペクト比で撮影していた
K「ある大手サイトのアンケート調査では、約7割の人が3:2のアスペクト比で撮影しているという結果が出ていたのじゃ」
M「へぇ~ということは、4:3のアスペクト比で撮る人は、3割位しかいないと言う事ですね」
K「そうなるのじゃな。もともと3:2のアスペクト比は35mmサイズのフィルムカメラから引き継いだものなのじゃ」
M「そうなんですか。それで多いのかな」
K「そういえば、フィルム時代の終焉に登場したAPS(アドバンストフォトシステム)のフィルムも、この3:2のアスペクト比を引き継いでおったのじゃな」
4:3はデジカメ時代のアスペクト比
M「へぇ~歴史が長いのですね。いつ頃から4:3のアスペクト比が出てきたの」
K「皮肉な事に、APSが普及した90年代後半に登場し始めたコンパクトデジタルカメラが採用したのじゃよ」
M「どうして4:3なんでしょう?」
K「昔のテレビ画面の比率がそうだったからじゃよ(笑)」
M「またまた、冗談でしょう?(笑)」
K「いやいや、本当じゃよ。当時のデジタルカメラが採用したのがビデオカメラのイメージセンサー(撮像素子)だったのじゃよ」
M「そんなのありですか?(笑)それが定着してしまったのですね」
K「それ以前にも、中型カメラや大型カメラのシートフィルムも4:3に近かったのじゃがな……今のアスペクト比の現状を表にしてみようか」
M「本当だ、はっきりと2つに分かれていますね」
K「ただし、このアスペクト比はイメージセンサー(撮像素子)のエリアを最大限合理的に使うための基本的なもので、アスペクト比をどちらにも変えられるカメラも多いのじゃよ」
M「それは便利ですね」
K「ところで、肝心のどちらのアスペクト比が良いかという話じゃが……まずは一般的な用紙やプリントサイズが、それぞれとっちのアスペクト比に近いのかまとめてみたのじゃよ」
3:2のアスペクト比に近いプリントサイズ
- L版
- 2L版
- ハガキ
- A系列の用紙(A4、A3等)
- B系列の用紙(B5、B4等)
- ワイド六切り、ワイド四切り
4:3のアスペクト比に近いプリントサイズ
- 六切り、四切り
M「うわぁ、これはもう圧倒的に、3:2のアスペクト比が多いですね……」
K「A系列やB系列の用紙をはじめ、ハガキも1:√2の比率なので3:2のアスペクト比に近いのじゃ」
M「ということは、3:2で撮っておけば間違いないと言う事か……」
K「ちょっと待った!むーちゃん。肝心の写真印画紙の六切りや四切りは3:2のアスペクト比に近いのじゃぞ。それ以前に、アスペクト比はプリントサイズだけで決めるものでもないのじゃよ」
M「え?他に何があるの?」
K「アスペクト比による写真の表現感覚の違いじゃよ」
アスペクト比3:2の特徴
- 横長構図が自然
- 被写体の動き(ベクトル)を表現しやすい
- 人間の視野に近いので、隅々まで眺めたくなる
- 縦長構図は、被写体によっては縦が長すぎることも
- フレームの高い位置に被写体を置くと不安定になりやすい
アスペクト比4:3の特徴
- ずんぐりとした縦横構図
- 縦横の過度の主張が少ないので納まりが良い
- 動き(ベクトル)を含めた、ダイナミックな表現に向かない
M「なるほど……アスペクト比から受ける感覚の違いを文字にされると確かにそうですね」
K「そうじゃろう?こちらの方が撮影時の判断としては大切じゃな」
M「あ!でもケンケン、どちらで撮影しても、後から天地か左右をトリミングしたらアスペクト比は変えられますね」
K「そうじゃな、プリント時に天地か左右が切られるのと同じ事じゃな。でもそれ以前に意外と知られていないけど、トリミングすると画角が変わるのじゃ」
M「え!ということは周辺部を切り捨てるほどに、画角が狭くなるの?」
K「そのとおりじゃよ。トリミングするほど、望遠レンズで撮った写真と同じになってしまうのじゃ」
むーちゃんが悩んだアスペクト比3:2と4:3のまとめ
- 3:2のアスペクト比で撮影していた人が7割だった。
- 3:2のアスペクト比は、35mmフィルムカメラから引き継いだもの。
- 4:3のアスペクト比は、デジカメ黎明期にビデオカメラから引き継いだもの。
- プリントサイズからみたら、3:2のアスペクト比が有利。
- アスペクト比の決定は、撮影意図を踏まえてから決める。
- トリミングでのアスペクト比変更は非常手段にとどめる。