ミラーレスとスマホでもボケる

 マイクロフォーサーズカメラでもちゃんとボケます

ケンケン(以下K)「むーちゃん、そんなに悲しそうな顔をしてどうしたのじゃ?」

むーちゃん(以下M)「フルサイズの一眼レフカメラを持った先輩に「お前のカメラじゃボケがつくれない」と笑われたんです……」

K「むーちゃんのデジカメはマイクロフォーサーズミラーレス一眼カメラ。おまけにレンズはキットのズームレンズじゃらからのう……」

M「え~それだと背景をぼかしたポートレートとか撮れないの?」

K「安心しなされ!どんなカメラでも、ボケがつくれないカメラはないのじゃよ。おそらく先輩は、フルサイズ一眼に比べてボケがつくりにくいと言ったかったんじゃろうな」

M「じゃあ、ボケを活かした写真も撮れるんですね」

K「もちろんじゃよ!頭を使えばどんなカメラでも撮れないモノはないのじゃ!」

M「うわ(笑)ケンケン今日は、そのテクニックを教えて!」

どんなカメラでも、たった1つのテクニックでここまでボケる

K「むーちゃん、そんなに慌てずにこの写真を見てみるのじゃ」

iPhoneのボケ具合

いつもパンフォーカスなiPhoneもここまでバックがボケるのじゃ。

M「あ!この写真、ちゃんとバックが綺麗にボケてますね」

K「実はこの写真はiPhoneで撮った写真なのじゃよ」

M「ええ!驚き!iPhoneって、何を撮ってもパンフォーカスで全面にピントが合ったように写るんじゃないの?」

K「何もしなければそうなのじゃが、どんなカメラでも、たった1つのテクニックでここまでボケるのじゃよ」

M「また、得意な裏技ですか?(笑)」

K「まずは、前に話したボケの作り方を思い出してみるのじゃ」

ボケをつくるのは、イコール被写界深度を浅くすること

M「確か……ボケをつくるのは被写界深度を浅くしてピントの合って見える範囲を狭くするんでしたよね?」

K「そのとおりじゃ。その時の被写界深度を浅くする4つの条件を覚えているかな?」

M「えーと、確か4つでしたよね」

被写界深度を浅くする4つの条件

  1. イメージセンサー:一番大きいカメラを選ぶ
  2. レンズの焦点距離:一番望遠側で撮る(数字を大きく)
  3. 絞り値:一番開ける(数字を小さく)
  4. 撮影距離:出来るだけ被写体に近づいて撮る

K「一番上のイメージセンサー(撮像素子)から見てみよう。むーちゃんの持ってるカメラで一番大きいのは「マイクロフォーサーズのミラーレス一眼カメラ」じゃな?」

M「はい、通称「カメ吉」です(笑)」

K「2番目のレンズの焦点距離は?」

M「一番数字の大きい望遠側の状態で42mmです」

K「ここで気づいたかもしれんが、フルサイズ一眼レフカメラ標準レンズは50mmなのじゃが……」

M「私のカメ吉は42mmの焦点距離でも望遠なんです」

K「そのとおりじゃが、マイクロフォーサーズのイメージセンサーの大きさはフルサイズの約半分の大きさなので、レンズが焦点距離が2倍の画角になるのじゃよ」

M「それでカメ吉は、42mmの焦点距離でもフルサイズカメラの84mm(42mm×2倍)の画角で望遠になるんですね」

「なんちゃって望遠」でもあきらめない

K「そこまでは良いのじゃが……画角が2倍に変わるのはセンサーサイズの都合の話で、レンズの特性は何も変わらんのじゃよ」

M「ええ?つまり被写界深度とか明るさはそのままって事?」

K「そうなのじゃ。むーちゃんがいくらカメ吉で望遠で撮ったからボケがつくりやすいと思っても、フルサイズカメラで撮った42mmのボケ具合と同じなのじゃ」

M「ええ、そんな~。42mmって望遠どころか、ボケにくい広角寄りじゃないですか……」

K「だからフルサイズ一眼レフの先輩は、画角だけ望遠でボケ具合は広角と同じだからボケがつくれないと言ったんだよ」

M「それって「なんちゃって望遠」じゃないですか(笑)……それで、3番目の絞り値はどうなるんです?」

K「お手頃価格のキットレンズで、おまけにズームレンズじゃからのう……絞り開放でボケを期待するのは無理じゃな」

M「ええ~。カメ吉のF5.6って、そんなに暗いんですか?」

K「残念ながらズームレンズはF2.8、単焦点はF2.0以上明るくないと、明るいレンズとは言えないのじゃ」

M「うわぁ絶望的だわ(笑)カメ吉は2段も暗いですね」

最後の切り札「撮影距離」

K「むーちゃん、何を言っておるのじゃ。諦めるのはまだ早いのじゃ。最後の「撮影距離」がまだ残っておるぞ」

M「撮影距離って、カメラと関係無いじゃないですか(笑)」

K「そこじゃよ!逆に言うと「撮影距離」は、どんなカメラでも差が付けられる唯一の方法なのじゃ!」

M「ひょっとして、さっきのiPhoneの写真は「撮影距離」でバックをぼかしたの?」

K「そのとおりじゃよ。被写体に近寄りアップで切り取り、背景をぼかすのじゃ」

M「確かに、撮影距離が短くなるほど被写界深度は浅くなり、ピントが合って見える範囲は狭くなっていくのはわかるんだけど……」

K「究極はマクロ撮影じゃよ。等倍撮影だと被写界深度は1mmもないのじゃぞ」

M「うわぁ!そう言われたら凄くわかります。それはそれで難しそうだけど(笑)」

「むーちゃん、センサーサイズが小さくてもレンズが暗くても、あきらめずにフットワークで被写体に近寄り被写界深度をコントロールするのじゃ」

M「やってみます。先輩を驚かしてみます!」

K「それから、むーちゃん。ボケがつくりにくいと言うことは、イコール被写界深度が深いと言う事なのじゃ。普段の撮影はピントがしっかり深い方が便利な事を忘れない様にするのじゃぞ」

M「はい、今度「先輩のカメラはピントが浅い」と言い返してやります(笑)」

むーちゃんがカメ吉であきらめずにボケをつくるポイント

  • ミラーレス一一眼やスマートフォンでもボケはつくれる。
  • ボケをつくるのはイコール被写界深度を浅くすること。
  • レンズが「なんちゃって望遠」でもあきらめない。
  • 絞り値が暗いレンズでもあきらめない。
  • 最後はフットワークで撮影距離でボケをコントロールしよう。
  • 被写界深度が深くてボケにくいのは悪いことではない。
  • ボケにくいカメラは日常ではむしろ使いやすい。