むーちゃん(以下M)「週末に海を撮ったんだけど、見た色と全然違う色に写ってしまって……それって私の腕が悪いの?」
ケンケン(以下K)「それって、もしかしたら海ってもっと青かったような……と思ったわけじゃな」
M「そうそう、なんというか……見た目よりどんより灰色に近いような……」
K「海はそういうもんじゃよ」
M「え?またまた……もっと青くて澄んでました。だから綺麗だと思って写真撮ったんです」
K「じゃあ聞くけど、むーちゃんは信号が何色になったら道路を渡る?」
M「は?青でしょう?」
K「今のむーちゃんは、信号機の写真を撮って青信号が緑に写っていると文句を言っているのと同じじゃよ」
M「え?え?どういうこと?」
K「信号の色は実際は青ではなく緑でしょ?写真の方が正しい色なんじゃよ」
M「なんで?なんで?」
「記憶色」という色
K「そういうのを「記憶色」と言うのじゃよ。以前デジカメで見たとおりに撮れない謎?という話をしたの覚えてるかな?」
M「はいはい!覚えてます。「カメラは先入観が無いから事実をありのままに写す」という話でしたね」
K「そうそう、色もそれと全く同じなのじゃよ。ここでも、カメラは自分が何を写しているのか知らないので、先入観無くありのままの色を写しているのじゃ」
M「私の記憶違いって事?」
感動した色は実際の色と違う
K「「記憶色」という心のフィルターを通して記憶した色で写真を見ているからそうなるのじゃよ。特に感動したモノほど実際の色より鮮やかに記憶しているはずじゃよ」
M「そんな……」
K「その全く逆もあるのじゃよ。気にも止めなかったモノが、写真を撮ると目障りなほど派手な色で写っている……」
M「ええ~じゃあどうしたら良いんですか?」
K「心配しなくて良いのじゃ。記憶色はむーちゃんだけの問題では無く、人間共通の習性じゃからな。カメラメーカもその事を知ってて、記憶色を元に色調整もしているはずじゃ」
M「そうなんですか?」
K「むーちゃんは、同じメーカからカラーフィルムが何種類も出てるの知ってる?」
M「はい、見たことあります。どうして同じメーカーで何種類もあるんですか?」
K「それぞれ撮影者の記憶色に合わせて選べるように、発色傾向が少しづつ変えてあるのじゃよ」
M「そんなふうになってたんですか?今のデジカメにはそういう便利な機能はないの?」
記憶色に合わせカメラの発色傾向を変える
K「あるある!カメラメーカーごとに呼び名は違うけど「画質設定機能」というやつじゃよ。むーちゃんのカメラだとフォトスタイルじゃよ」
M「え!え!本当だ!あった。この「ヴィヴィッド」とか「ナチュラル」とか「風景」とか「人物」とか言うやつですね」
K「それぞれが、被写体やイメージに合わせて発色傾向を変えているのじゃよ」
M「そうだったのか……じゃあ私は海を撮ったとき、ここを「風景」にセットしておけば記憶色に近い発色で撮れてたって事なんですか?」
K「そのとおりじゃな。むーちゃんが見たとおり、海はもっと青く写ってただろうね。「人物」にすると、人肌が記憶色に近く写るはずじゃ」
M「そういうのがいつもケンケンが言ってる、感動をカメラに伝えると言う事なんですね」
K「悲しいことに、カメラ自身は感動してくれないのじゃ」
M「こんな便利な機能が付いてたなんて……買ってからずっと「スタンダード」で撮り続けていました」
「この記憶色に色を合わせるという手法は、写真に限らずテレビでも広告などの印刷物でもみんな使われているのじゃよ」
M「じゃあ、ますますどれが本当の色かわからなくなりますね」
K「ますます色の先入観というモノが刷り込まれて行くだろうね。その典型的な例が、さっきの信号機の青と緑の差じゃないかと思うんじゃよ。毎日緑を見ながら、無意識に青と自分に言い聞かせているのじゃよ」
M「なるほど……怖いですね」
K「自分のカメラの発色傾向を覚えるには、やはり外に出てバンバン撮って見るのが一番じゃな」
M「なるほど……夕焼けとか、青空とか、新緑とかどんな風に写るか楽しみです」
ケンケン直伝!上達のためのアドバイス
- 人間は「記憶色」という、自分の都合の良いように色を記憶している。
- 特に感動したモノほど実際の色より派手に記憶している。
- カメラは感動が無いから事実の色をありのままに写す。
- 記憶色に合わせてカメラの発色傾向を変えてみよう。
- たくさん撮って自分のカメラの発色傾向に慣れよう。