フォーカスエリアはどれを選ぶ?

むーちゃん(以下M)「私のカメ吉はミラーレス一眼なので、デジイチよりもたくさんフォーカスエリアが付いてるのが自慢なんですが……」

ケンケン(以下K)「むーちゃん、どうしたのじゃ?」

M「未だかって画面の角の方のフォーカスエリアでピント合わた事がないんです」

K「確かに一番レフカメラのフォーカスエリアは、画面の中央付近にしかフォーカスエリアがないからのう。その点ミラーレス一眼は四隅の角まで全面にフォーカスエリアがあって便利じゃな」

M「でも、どういうときに角の方のフォーカスエリアを使ってピントを合わせるの?」

K「そう言われてみると、そういうシチュエーションはあまりないな……強いて挙げるとすると三脚に固定して撮影するときくらいじゃないかな」

M「やっぱり、そうですよね。ケンケンも普段はど真ん中のフォーカスエリアでピント合わせしてますよね?」

K「そのとおりじゃよ。いくらフォーカスエリアの数が増えたと言っても、撮影の度にフォーカスエリアを選んだり移動させるのは面倒じゃかならのう」

M「ケンケンもそうなんですね(笑)フォーカスエリアの自動選択機能というのも試して見たけど、いつも思いどおりにはカメ吉が選んでくれないですし……」

K撮影後にフォーカスエリアを元に戻す手間も面倒じゃな。フォーカスエリアは中央に固定したまま「フォーカスロック」で撮った方が断然簡単じゃな」

「フォーカスロック撮影」とは?

M「え?フォーカスロックって?」

Kファインダー中央のフォーカスエリア1点を、フォーカスを合わせたい箇所に当てて、フォーカスをロックする事じゃよ」

M「ロックって、どうするの?」

Kシャッターを半押しのままキープしておくことじゃよ。その間はフォーカスは固定されて動かないじゃろう?だから「フォーカスロック」と言うのじゃ」

M「ああ、なるほど……」

Kシャッターを半押しのまま、自分の好きな構図にフレーミングして、シャッターを全押しして撮影完了じゃ」

M「なんだ……私もそうして撮ってるけど、それを「フォーカスロック撮影」と言うとは知らなかったなぁ」

K「欠点が無いわけではないが、ケンケンも普段は9割以上「フォーカスロック撮影」じゃな」

M「一応欠点もあるんですね?」

K「そうなのじゃ、全ての撮影を「フォーカスロック撮影」でこなせるなら、フォーカスエリアは中央に1つしか必要ないことになるじゃろう?(笑)」

M「そうですね、それ、詳しく教えてください」

K「「フォーカスロック撮影」には、大きく分けると3つの不得意な点があるのじゃ」

「フォーカスロック撮影」の3つの欠点と対策

  1. フォーカスロックと一緒に、露出もロックされるカメラが多い。
  2. 三脚を使用した撮影は、撮影の度に雲台を調整しなくてならない。
  3. コサイン誤差の影響を受ける場合もある。

プロに人気の「親指AF」とは?

M「一番最初の欠点は、シャッター半押しで、フォーカスだけではなく露出も一緒にロックされてしまうと言う事ですよね?」

K「そのとおりじゃ。前に奨めた「多分割測光」パターンで撮る時は、特に敏感に露出が変わるからのう……」

M「そうか……それだとフォーカスロックの後構図を変えるので、正しい露出で撮影出来ないですね……」

K「でもそういう時は「親指AF」を使う裏技があるのじゃ?」

M「なんですか、それ?「親指オートフォーカス」ですか?」

K「ちょうど右手の親指に当たるところに、ボタンが付いてるじゃろう?」

M「背面のライブビューの上ですね?」

K「そうじゃ。このボタンはシャッターは切れないが、シャッターボタン同様フォーカスロックができるのじゃよ」

M「と言う事は、つまり最初にこの「親指AF」ボタンでフォーカスロックしてしまえば、シャッターを半押しキープしてなくていいのか……」

K「だから、フレーミングして構図を整えた後に、初めてシャッターを押して露出決定と同時に撮影すれば良いのじゃよ」

M「つまり、フォーカスロックと露出測光のタイミングを別けられるんですね。なるほど……すご技です(笑)」

三脚でカメラを固定されたら?

K「2番目の欠点の、三脚を使用した撮影は、最初に言ったとおりフォーカスエリアを選んでからピント合わせした方が楽じゃな」

M「わかります……そうしないと、カメラ乗せた雲台を緩めてから、ファインダー中央のセンサーでフォーカスロックして、フレーミングしたら又締め直して……の繰り返しになりますね」

K毎回水平垂直合わせて雲台を固定するのはかなり面倒じゃやからのう……この時こそフォーカスエリアが画面の隅々まであるミラーレス一眼が有利じゃな(笑)」

「コサイン誤差」とは?

M「そうですね。最後の欠点の「コサイン誤差」と言うのはなんなの?」

K「名前は難しいが簡単じゃよ。フォーカスロックした後に構図を合わせるためにカメラを少しでも動かすと、角度が付いた分被写体までの距離が、ほんの少しだけ変わることじゃよ」

M「ええ?どういう事?」

K「例えば、まずファインダー中央のフォーカスエリアでモデルの手前の目のマツ毛にフォーカスロックします。そのあとモデルの頭の上の空間を狭めるためにカメラを3度位下に向けてフレーミングしたとします。そしたらイメージセンサー(撮像素子)とモデルの手前の目のマツ毛との距離が数ミリ長くなりますという誤差の事のじゃよ」

M「なるほど……確かにそうなりますね。その数ミリが撮影に影響するの?」

K現実問題、数ミリの距離の差は被写界深度内に納まるのでピントがぼけて見える事は無いのじゃが……極端に被写界深度が浅い撮影の時は注意が必要じゃな」

M「それって、どういうときですか?」

K超望遠レンズを絞り解放付近で撮る時クローズアップ撮影じゃな」

M「そういう時はどうしたら良いの?」

Kフォーカスロックしてフレーミング合わせた後にMF(マニュアルフォーカス)で微調整してやるのじゃ。そのままピントリングを回せば良いだけじゃよ」

M「なんだ、意外と簡単なんですね」

K「ただし、クローズアップ撮影の時はピントリングを回すよりも、体を前後に動かした方がピント合わせしやすいはずじゃよ」

M「そうなんですね。わかりました」

フォーカスロック後にズームしていいの?

K「最後に、フォーカスロック撮影の欠点ではないが、フォーカスロック後にズームを操作した場合ピントがずれるレンズが一般的なので注意が必要じゃな」

M「まさかピントがずれるとは知りませんでした。気をないと……」

K「カメラやレンズによってはフォーカスロック後のズーム操作は禁止じゃな」

むーちゃんのフォーカスロック撮影のポイント

  • 通常撮影のフォーカスエリアは中央1点が楽ちん。
  • 「フォーカスロック撮影」に慣れると戻れない。
  • 「フォーカスロック」+「親指AF」は、鬼に金棒。
  • 三脚使用の撮影時は、フォーカスエリアを選択した方が楽ちん。
  • クローズアップ撮影は「コサイン誤差」に注意。
  • 超望遠撮影時は「コサイン誤差」に注意。
  • フォーカスロック後のズーム操作はピントがずれるので注意。