実はフィルムもISO感度を変えて撮っていた
むーちゃん(以下M)「最近のデジカメは、新製品が出る度に最高感度が凄い事になっていますね」
ケンケン(以下K)「そうじゃな。ノイズリダクションの性能が、日々進歩しているからなあ……フィルムカメラからしてみたら、信じられない高感度じゃぞ」
M「そういえばフィルムって、その都度ISO感度変えたりはできませんよね」
K「基本的には決められた感度から変えられないけど、現像時間を調整して「減感度現像」とか「増感現像」とか、裏技としてできたのじゃよ」
M「それって、どんなメリットがあったの?」
K「減感現像というのは、微粒子のネガをつくるためじゃよ。そのためにISO感度を100から50にしたりして、露出を多めに与えて現像時間を短くしていたのじゃ」
M「現像時間を短くすると粒子は小さいの?」
K「そうなのじゃよ。反対に現像時間が長くなるほど、粒子は大きく成長するのじゃ」
M「と言う事は、もうひとつの増感現像というのは、粒子が大きくなるのね」
K「その代わりに感度が増すので、ISO感度を100から200や400に上げて撮影できるのじゃよ。そのぶん現像時間が増して粒子が大きく荒れるということじゃ」
M「ISO感度を上げて高感度設定したら、ノイズが増えるところはデジカメにそっくりですね(笑)」
カタログのISO最高感度はアテにならない
K「そのとおりじゃよ。ところで先ほどの話じゃが……実はカタログに書いてあるデジカメの最高感度というのは、意外とアテにならないのじゃよ」
M「ええ!それってどういうこと?」
K「デジカメのISO感度は、イメージセンサー(撮像素子)の電気回路のゲイン(入力と出力の比率)を上げれば、いくらでも上げることができるからじゃよ」
M「そう言われてみると、そうか……でもそんな事したら、画像がノイズだらけになるんじゃないの?」
K「もちろんノイズリダクションの高性能化でノイズは減らしているのだろうけど、感度を上げ続ければ最終的には写真なのか水彩画なのかわからなくなるじゃろうな(笑)」
M「ここまでノイズが増えたらダメ!という基準とかないの?」
K「実は標準出力感度の定義はあっても、ノイズとの関係がはっきり定義されていないのじゃよ」
M「つまり暗い中で感度を上げての撮影は、決められた明るさで撮れていればノイズが多くてもOKってことね」
ノイズがどこまで許せるかはメーカの判断しだい
K「そのとおりなのじゃよ。どこまでノイズを許せるかは、メーカーの判断に任されているのじゃ」
M「ふーむ。それと、最高感度は必ずと言って良いほど「拡張感度」って書いてあるけど、どうしてなの?」
K「ISO感度は「ベース感度」と「常用感度」と「拡張感度」の3種に分かれているのじゃ。最高感度付近はノイズが多すぎて「常用感度」と言えないので「拡張感度」に追いやられているのじゃよ」
M「その辺りの区分けもメーカーの判断なのね」
K「最高感度は「拡張感度(画像にノイズは多いけど撮影には支障がない)」という、訳あり商品の言い訳のような前提で決めているケースが一般的じゃな(笑)」
ISO最高感度は、結局自分のTPOで決めるしかない
M「メーカーさんがそんなんじゃ、どこまで最高感度を信じて良いのかわからなくなっちゃいます」
K「そうじゃな。メーカがノイズを許せてもユーザが許せなかったり、またはその逆もあるのじゃな」
M「確かに「ワシは画質が悪くなるなら撮らない方がマシじゃ!」という画質至上主義のおじさんもいますしね(笑)」
K「逆に「ノイズだらけでも気にしないわ!とりあえず写真に撮っとかないと……」という実用性重視のお姉さんもいるのじゃ(笑)」
M「つまり最終的には「今の自分がノイズをどこまで許せるか」という事なんですね……だからカメラに「ISO感度上限設定」が付いているのか……」
K「そのとおりじゃ、あくまで自分で決めるのじゃ!そのためにも一度自分のカメラで、ISO感度を上げながら写真を撮り比べて、どこまでノイズを許せるか目安を決めておくとよいぞ」
むーちゃんが学んだISO最高感度とノイズについて
- フィルムにも、高感度とノイズ(粒子の荒れ)の関係があったこと。
- 感度は電気的にいくらでも上げる事ができること。
- ノイズの寛容度には標準規格がないこと。
- ノイズの寛容度はメーカごとに違うこと。
- 「拡張ISO感度」という言い訳?を信じない。
- ISO最高感度は、その都度自分で決めるのが一番。
- そしてカメラの「ISO感度上限設定」を利用する
- そのためにも日頃から自分のカメラの高感度特性を把握しておく。