3つの測光モード
むーちゃん(以下M)「私のデジイチには測光モードが3つもあるんです。どういう時にどの測光モードを使ったらいいのか、全然わかりません」
ケンケン(以下K)「今のデジカメは、むーちゃんのカメラと同じで「多分割測光」「中央部重点平均測光」「スポット測光」の3つの測光モードが切り替えられる機種が多いのじゃよ」
M「試しに測光モード切り替えてみたら、同じ場所から同じ構図で測っても露出表示がバラバラに違うんです。どれを信じていいのやら……」
K「むーちゃん、それはそうじゃよ(笑)みんな同じ露出表示がされるのなら、露出モードはどれか1つで良いことになるじゃろう」
M「そう言われると、確かにそうですね」
K「露出モードはそれぞれ長所も短所もあって、光が読めないと難しいのじゃよ。上級者でも悩む所じゃな……」
悩まずに「多分割測光」を使おう
M「だったら初心者の私はどうしたらいいの?」
K「悩まなければ良いのじゃよ(笑)」
M「え?」
K「どのカメラも「多分割測光」が初期設定になっておるじゃろう?「多分割測光」といっても、メーカによって「マルチパターン測光」とか「評価測光」とか呼び名は様々じゃがな……でも、それを悩まずにそのまま使えば良いのじゃ」
M「そんなんでいいの?(笑)」
K「そんなんで良いのじゃよ。ケンケンが小学生の時に初めて手にしたカメラ(OLYMPUS Pen)には露出計すらついていなかったのじゃよ」
M「ええ!どうやって露出値決めてたの?」
K「フィルムの箱に「晴マーク・F11・1/125秒」「曇マーク・F5.6・1/60秒」とか印刷してあって、それを見て決めていただけじゃよ」
M「……のどかな時代だったんですね(笑)」
K「それから70年代になって手にしたNikon FMには露出計は付いていたけど「中央部重点平均測光」しか付いてなかったのじゃ。80年代で手にしたCONTAX RTSには「中央部重点平均測光」に「スポット測光」が加わり、90年代に使っていたCanon T90には「マルチスポット測光」という便利な測光モードがついていたのじゃ」
「マルチスポット測光」から「多分割測光」へ進化
M「そんなに昔から「中央部重点平均測光」と「スポット測光」はあったんですね。でも「マルチスポット測光」って今は聞いたことないですね」
「「マルチスポット測光」というのは、自分が気になる箇所を何カ所かスポット測光すると、随時にバー表示しながら平均露出を出してくれるのじゃ。当時はそれが面白くてな……」
M「そんなに便利な測光モードがどうしてなくなっちゃったんだろう」
K「「マルチスポット測光」が今の「多分割測光」に進化したんじゃよ。カメラが気になるエリアを自動で複数識別して、瞬時に露出を計算してくれるんじゃよ」
M「へぇ~そういうことだったのか。でも、カメラに気になるエリアってわかるの?」
K「具体的に言うと、ピントを合わせたエリアや、顔認識したエリアや、動いている被写体があるエリアや、輝度の差の激しいエリアなのじゃな。その判断はメーカや機種によって個性があるのじゃ」
M「なるほど……そう言う事だったのか」
更に進化中の「多分割測光」
K「「中央部重点平均測光」と「スポット測光」が昔からある完成した測光モードに対して、「多分割測光」は今でも更に高度に進化し続けているのじゃよ」
M「それなら、何も迷わずに新しい「多分割測光」を使わないと損ですね」
「そうじゃな。ところで、むーちゃんは、「白いモノを白く写す時」と「黒いモノを黒く写す時」は2段位露出補正をしなさい、と習ったことあるだろう?」
M「はい、良く聞きますね」
「今の「多分割測光」は、画面一杯全面が白一色・黒一色でない限り、露出補正しなくてもちゃんと白いモノを白く・黒いモノを黒く写してくれるのじゃよ」
M「へぇ~そこまでお利口さんなのか……」
K「なので、今ではプロでも測光モードは「多分割測光」1本で撮る人もいるのじゃよ。変える必要性がないのじゃろうな」
「多分割測光」の欠点と対策
M「そこまで信頼されているのか……シャッターチャンスにも強そうですね。でも欠点はないの?」
K「測光評価が敏感過ぎて、ちょっとした被写体の動きや構図の変化でも表示値が変わってしまうのじゃ」
M「それがどうして欠点になるの?」
K「例えば、三脚を使用して同じ構図で同じモデルを撮影しても、モデルのちょっとした動きで露出が変わり、コマごとに背景の明るさが変わるのも変じゃろう?」
M「ああ、そう言う事か……そういう時はどうすればいいの?」
K「マニュアルモードで撮影する事じゃな。「多分割測光」で気に入った露出を決めたら、撮影モードをマニュアルにして「絞り値」「シャッター速度」「ISO感度」を固定して撮るのじゃ」
M「なるほど……そういう撮り方があるんですね。勉強になりました」
むーちゃんの「多分割測光」のポイント
- 大半のデジイチには3つの測光モードがついている。
- それぞれ測光方法が違うので露出表示もバラバラである。
- 「中央部重点平均測光」と「スポット測光」は、昔からある煮詰まった技術。
- 「多分割測光」は更に発展中で、メーカー、機種ごとに個性がある。
- 「多分割測光」は、初心者から上級者まで安心して使える。
- 「多分割測光」は、測光評価が敏感過ぎて表示が頻繁に変化しやすい。
- 変化が気になるなら「多分割測光」で決めた値をマニュアルモードで設定して撮る。