むーちゃん(以下M)「この前きれいにピントをぼかした写真の撮り方を教えてもらったけど、反対に写真全面にピントを合わせるのはどうしたらいいの?」
ケンケン(以下K)「つまり、パンフォーカスの写真が撮りたいと言う事じゃな?」
M「え?パンフォーカス?パンの写真を撮りたいんじゃ無いんだけど……でも、美味しそうです」
パンフォーカスで写真全面にピントが合ったように見せる
K「はは!「パンフォーカス」というのは、近くから遠くまでカチッとピントの合ったように見える写真の事を言うのじゃ。ちなみにこれは和製英語で、英語では「ディープフォーカス」と言うのじゃよ」
M「なんだ、食べ物じゃないんだ(笑)」
K「むーちゃんの写真はどれも一見パンフォーカスの様だが、よく見るとピントが合ってるようで合っていない中途半端な写真ばかりじゃな……」
M「優柔不断な私の性格が写真にも出てるんでしょうか?」
K「そうかもしれんな(笑)メインの被写体のピントばかり気にするのではなく、周辺のピントもぼかすならぼかす、合わせるのならカチッと合わすべきじゃな」
M「被写体に気を取られて、周辺までは全然気にしてなかったからなぁ…」
K「まずは、むーちゃんがピントをぼかしたいのか合わせたいのか決めて、カメラに伝えてやらないと成り行き任せの写真が撮れてしまうのじゃよ」
M「そうそう、それで今日はカチッと隅々までピントを合ったように見える方法を教えて欲しいんです」
パンフォーカス=ぼかす方法の真反対
K「簡単じゃよ!この前話した被写界深度を深くしてやればいいだけじゃよ」
M「被写界深度が浅いとピントが合ったように見える前後の範囲が狭くなり、逆に被写界深度が深いとピントが合ったように見える前後の範囲が広くなるんでしたね」
K「そのとおり!むーちゃん良く覚えてたね」
M「えへぇ(笑)」
K「パンフォーカスにするためには、ボケをつくるやり方の反対をすれば良いんだよ。ぼかす、つまり被写界深度を浅くしてぼかすにはどうしたら良いんだったかな?」
M「はい!覚えてます。次の4つでしたね」
- イメージセンサー:一番大きいカメラを選ぶ
- レンズの焦点距離:一番望遠側で撮る(数字を大きく)
- 絞り値:一番開ける(数字を小さく)
- 撮影距離:出来るだけ被写体に近づいて撮る
K「正解!良く覚えてたね。では、その反対はどうなるか書いてごらん」
M「えーと……」
- イメージセンサー:一番小さいカメラを選ぶ
- レンズの焦点距離:一番広角側で撮る(数字を小さく)
- 絞り値:一番絞る(数字を大きく)
- 撮影距離:出来るだけ被写体から離れて撮る
K「その通り!できるるだけこの4つの条件に近づくようにすれば、パンフォーカスな写真が撮れるはずじゃよ」
M「意外と簡単なんですね」
K「むーちゃんのカメラに合わせて考えたらどうなる?」
M「えーと私のカメラで一番センサーサイズが小さいのはiPhoneかな?」
K「そうじゃな。だからiPhoneで普通に撮った写真は何もしなくてもほぼパンフォーカスで撮れるのじゃ」
M「ああ……そうか。でも、iPhoneって設定変えようと思っても何も変えられないでしょう(笑)一眼レフカメラで撮る時は……レンズは広角側の28ミリにして、絞りは22まで絞れるのでその付近まで絞れば良いのか……」
K「そのとおりじゃな。広角側で絞り込んでパンフォーカスで写る状態にしておけば、ピント合わせをしなくても撮影できるのじゃよ。シャッターチャンスを逃したくないスナップ撮影のテクニックなので覚えておくよ良いのじゃ」
M「ああ~そうか、もうピントが合っている状態になってるんですもんね」
パンフォーカスの目安は35mmのF11
K「スナップ写真などでパンフォーカス写真を撮りたいのなら、おおよその目安として35mm(35mm換算)以下の広角レンズを使って、絞りはF11位まで絞っておけば、ピントを気にすることなくどんどん撮影出来るのじゃ」
M「それで、35mmレンズはスナップ向きと言われてるのか……ピントのことを気にせずに撮影出来るのは楽ですね」
K「ただし、絞り込むのでシャッター速度が落ちるという欠点があるのじゃ。ISO感度をしっかり上げておかないと被写体ブレをおこしてしまうで注意が必要じゃな。難しいなら、ISO感度は自動設定モードにしておくと便利なのじゃ」
M「ああそうか、被写体ブレは手ぶれ補正機能では補正できないんでしたね」
K「そのとおりじゃ」
M「被写体ブレ防止の裏技、しっかり覚えています」
撮影前のピント範囲の確認
K「フィルム時代のほとんどのレンズには「被写界深度目盛」という目盛が刻印されていて、それを見ながら絞りごとにどこからどこまでの範囲でピントが合ったように見えるかが一目でわかったんじゃよ」
M「え~なんで最近のレンズにはないんですか?」
K「一番簡単で確実な被写界深度を知る方法だったので、一部のレンズしか無くなって非常に困っておるんじゃよ」
M「そういえばケンケン、絞りをいくら絞っても、ファインダーで見える画像ではピントの合う範囲は変わらないんですけど……」
K「良いところに気づいたね。一眼レフカメラのファインダー画像は、いくら絞りを絞っても実際は絞りを開放した状態で見えているのじゃよ。そうしないと暗くなってピントが合わせにくいからなのじゃ」
M「え?絞りを絞る設定にしても絞られないの?」
K「実際に設定した絞りになるのは、シャッターを押した瞬間だけなんじゃよ」
M「え!じゃあ、ファインダーを覗いてもわからないとなると、ピントの範囲は撮ってみないとわからないの?」
K「そういう時のために、一眼レフにはプレビューボタンのような、絞り込み効果の確認ボタンが付いておるはずじゃよ」
M「あ!ほんとうだ。私のにも「絞り込み効果の確認ボタン」というのがついてました。確かにピントの合う範囲が広くなって見えますね。でも暗くなって見づらいです……」
K「暗いのが気になるなら、実際に撮影してから、液晶モニターで拡大しながらピントを確認する方法もあるのじゃ」
M「ピントの確認って、意外と面倒なんですね」
K「カリっとピントの効いた美味しいパンのために頑張るのじゃ(笑)」
ケンケン直伝!上達のためのアドバイス
- 「パンフォーカス」は、画面全面ピントの合ったように写真である。
- 「パンフォーカス」は和製英語で、英語では「ディープフォーカス」と言う。
- まずは自分が、ピントをぼかしたいのか合わせたいのか決めてカメラに伝える。
- パンフォーカスは、被写界深度を深くすること。
- スナップ写真のパンフォーカスの目安は35mmレンズでF11。
- ピント範囲は、絞り込み効果の確認ボタンを押しファインダーで確認する。
- 暗くてピントがわかりづらいなら、実際に撮影して液晶モニターで拡大しながら確認する。