むーちゃん(以下M)「写真集の写真はものすごくシャープに写っているけど、撮った後に画像処理でシャープにしてるのかな?」
ケンケン(以下K)「画像処理でシャープネスをかけても輪郭が強調されるだけじゃよ。ピンぼけや手ブレまでは解消できないのじゃ」
M「じゃあ撮影の時点であれだけシャープな写真が撮れているんですね。やっぱりプロ用のカメラとレンズで撮るからなの?」
K「もちろん機材の選択もあるけど、あらゆる撮影テクニックを駆使して徹底的にブレの要因を排除してるからなのじゃ。プロが仕事で撮った写真は、鮮明でシャープであることが大原則なのじゃよ。」
M「やっぱり、機材が違うからなんだ……」
K「むーちゃん、あきらめるでないぞ。写真をシャープに写すは機材だけではないのじゃ。頑張ればむーちゃんでも今の何倍もシャープな写真を撮ることができるのじゃぞ」
M「期待して良いですか?(笑)そのプロがしてるような徹底的にブレの要因を排除する方法を教えてください」
K「よかろう……まずはケンケン流「シャープな写真を撮るために8つの約束」を伝授するのじゃ」
シャープな写真を撮るために8つの約束
- 頑丈な三脚を使う
- 手ぶれ補正機能を切る
- ISO感度を一番低くする
- 絞りは開き過ぎず、絞り込み過ぎず
- ライブビューで正確にピントを合わせる
- ミラーアップ機能を使う
- 電子シャッターや電子先幕シャッターを使う
- シャッターは押さない
M「では、一番上から教えてください」
頑丈な三脚を使う
K「シャープな写真は、頑丈な三脚をしっかりと固定することから始まるのじゃ。三脚を正しく使用するだけで、手ブレはほぼ解消して写真はシャープになるのじゃよ」
M「ケンケンはことあるごとに三脚を使えと言うけど、はっきり言って重くて凄く面倒です(笑)」
K「そこなんじゃよ、むーちゃん。プロとアマの違いはカメラでもレンズでもなくズバリ三脚じゃよ。三脚こそが初心者に一番欠けている意識じゃな」
M「確かにアマチュアでもプロと同じカメラとレンズを使っている人たくさんいますよね」
K「その中でも、三脚までプロと同じモノを使っている人は一握りなんじゃよ」
M「なるほど……機材は三脚で差がつくのか……」
K「プロは経験から、レンズとカメラの性能を最高に引き出すには頑丈な三脚が必要な事を知っておるのじゃ。「カメラ」と「レンズ」と「三脚」は「三種の神器」じゃぞ」
M「大げさですね(笑)でも、そう言われると早い時期から三脚を使う事に慣れて置いた方がいいですね」
K「そうじゃな。ただし、いくら重くて頑丈な三脚でも強風下では倒れるので、風の強い日の外での撮影は注意が必要じゃな」
M「そうなんですね、自然には逆らえませんね」
K「少しでも軽くてかさばらない三脚が良ければ、カーボン製の三脚や自由雲台の付いた三脚を選ぶと良いのじゃ」
手ぶれ補正機能を切る
M「次の「手ぶれ補正機能を切る」ってOFFにしていいの?」
K「手ぶれ補正機能は、カメラを手に持っている振動を常に検知し続けているのじゃよ。なのでカメラを三脚に固定してブレのない状態になると、ブレを検知できずにおかしな動きをしてしまう事があるのじゃ」
M「だったら切っておいたほうが安心ですね。それ以前に、三脚を使えば手ぶれ補正機能は必要無いですよね(笑)」
ISO感度を一番低く設定
K「ISO感度を一番低くするのは、ノイズを一番小さくするためじゃよ」
M「なるほど……その時「拡張感度設定」の一番低いISO感度でもいいの?」
K「いや「通常感度設定」の範囲での話じゃよ。「拡張感度設定」を選ぶと、一番低感度でも画質が落ちるのじゃ」
絞りは開き過ぎず、絞り込み過ぎず
M「次の絞りは開けても絞ってもダメってどういうこと?」
K「一般的なレンズは解放から2段絞った辺りが一番ベストな画質なんじゃよ」
M「へぇ、そうなの?良いこと聞きました」
K「それ以上絞ると、被写界深度が深くなってピントは広く合って見えるけど、「回析現象」と言うのが起きて画質が甘くなるのじゃ」
M「え?画質に甘いとか辛いとかあるの?だったら甘い方が良いんですけど……」
K「むーちゃん、何を言っておるのじゃ(笑)画質が甘いとはシャープさが損なわれることじゃよ」
M「なんだ、そうなのか………残念」
K「35mmフルサイドのレンズではF値を11以上絞り込むと「回析現象」が起きると言われておるのじゃ。APS-CカメラははF8、マイクロフォーサーズカメラはF5.6とも言われておるのじゃよ。でも「回析現象」を気にしない人は、少なくはないのじゃよ」
ライブビューで正確にピントを合わせる
M「私のカメラにもライブビューが付いています。三脚にカメラを固定したら、ファインダーよりもライブビューの方が見やすいですね」
K「ライブビューはとても便利だけど、液晶画面のサイズはスマホ並に小さいからのう……拡大もしくルーペを使わないと、正確なピント合わせは難しいのじゃよ」
ミラーアップ機能を使う
M「私のカメラはミラーレス一眼なので、ミラーは付いてないんですけど……」
K「そのとおり、これは一眼レフカメラにだけ付いている機能じゃよ。一眼レフカメラは、シャッターを切った瞬間ミラーが跳ね上がり振動になるのじゃよ」
M「そのブレを防ぐために、シャッターを押す前にミラーアップ機能でミラーを跳ね上げた状態にしておくのですね」
K「そのとおりじゃよ」
電子シャッターや電子先幕シャッターを使う
M「電子シャッターって私のカメラに付いています」
K「普通のシャッターはシャッター幕という幕を上下に走らせて撮影するのじゃが、これがまた振動の元になるのじゃ」
M「それが電子シャッターだと振動しないの?」
K「そのとおりじゃ。スマホのカメラの様にシャッター幕を走らせずに撮影する機能じゃよ」
M「へぇ~。電子先幕シャッターってのも?」
K「電子先幕シャッターというのは、簡単に言うと前半は電子シャッターで後半はシャッター幕を動かすのじゃ」
M「ということは、半分ほど振動が減るのかな?」
K「そう考えて良いじゃろう」
シャッターは押さない
M「最後の「シャッターは押さない」っていうのは冗談ですか?シャッター押さずに写真が撮れるの(笑)」
K「本当じゃよ、手ブレはシャッターを押すことで発生するのじゃ」
M「じゃあ、どうやって写真撮るの?」
K「ほらむーちゃんも見たことあるじゃろう?カメラから線で伸びたリモコンみたいなもの。ケーブルレリーズというのじゃ」
M「ああそうか……ケーブルレリーズを使えば、確かにシャッターを押さないで写真が撮れますね。でもそんな便利なもの持ってないです」
K「安心しなされ。そういう時はセルフタイマーを使うのじゃ」
M「なるほど……そういう手があったのか。確かにシャッターを押さないで写真が撮れます(笑)」
K「三脚を持ち運ぶ以外はどれもコレも小さな手間暇じゃが、それらの効果が合わさってシャープな写真が撮れるんじゃよ」
M「三脚の絶大な効果もわかってきたので、三脚も欲しくなってきました」
K「どうしても三脚が使えなければ、三脚無しで手ブレを防ぐ方法と組み合わせてみると良いのじゃ。少しでもシャープな写真に挑戦してみるのじゃ」
M「はーーーい」
むーちゃんのシャープな写真を撮るために8つの約束
- 風の強い日は避けて、頑丈な三脚を使って撮る。
- 三脚使用時はカメラの手ぶれ補正機能を切る。
- 通常設定範囲でISO感度を一番低く設定する。
- 絞りは開き過ぎず絞り込み過ぎず、ベストな絞りで撮る。
- ライブビューを拡大して、正確にピントを合わせる。
- 一眼レフカメラは、ミラーアップ機能を使う。
- 電子シャッターや電子先幕シャッターを使う。
- ケーブルレリーズやセルフタイマーを使ってシャッターは押さない。