実は皆がなじみ深い望遠レンズ
ケンケン(以下K)「前回の広角レンズの3つのポイントに引き続いて、今日は望遠レンズの3つのポイントを話すのじゃ」
むーちゃん(以下M)「望遠レンズって、何だか重いというか、大きいというか、特別なレンズで三脚が必要で扱いにくい感じがしますね」
K「そうでもないじゃろう?むーちゃんも広角よりは、むしろ望遠の方がなじみが深いのでは?」
M「そう言われれば、広角レンズを日常生活で覗くのは、玄関ドアに付いているドアスコープ位しか思い出せませんね」
K「それに対して望遠だと、双眼鏡とか天体望遠鏡とかオペラグラスとか、今まで何度も覗いた事があるじゃろう?」
M「ああそうか……小さい頃、観光地や高層ビルの展望フロアーで、100円玉入れて望遠鏡を覗いた想い出が蘇ってきました」
K「カメラの望遠レンズの特徴もそれと変わらんよ。肉眼で見たよりも大きく写る、焦点距離の長い(数字の大きい)レンズを望遠レンズというのじゃよ」
M「どれくらいの焦点距離からが望遠なんですか?」
K「はっきりとした決まりはないけど、大体80mm(35mmフルサイズ換算)以上からが望遠レンズと呼ばれているはずじゃな」
M「ん?と言うことは、私の標準ズームレンズは端っこが80mm(35mmフルサイズ換算)なので、ぎりぎり望遠レンズということですね」
K「むーちゃんのレンズだけでなく、標準ズームレンズは大半が70mmから90mm(35mmフルサイズ換算)位で端になるので、気にすることはないのじゃ」
M「はーい。肝心の望遠レンズの特徴は?」
K「望遠レンズの特徴も広角レンズ同様に、3つのポイントに絞って解説しよう」
望遠レンズの3つのポイント
- 大きく写せる
- 圧縮効果が強い
- ピントが浅い
M「予想どおり、ほぼ広角と特徴が真反対ですね(笑)」
大きく写せる
K「1番目の「大きく写せる」ということは、広角と反対で写り込む背景が狭くなると言う事なのじゃな」
M「被写体を同じ大きさで写しても、写り込む背景の範囲が、広角は広く、望遠は狭くなると言うことですね?」
K「そのとおりじゃよ。まさしく望遠鏡を覗いた時と同じじゃっよ。必要な範囲だけを切り取る感覚で撮影するのがコツじゃな」
M「広角レンズと違って、余分な背景を取り除きやすいので良いですね」
圧縮効果が強い
K「2番目の「圧縮効果が強い」というのは、遠近感が少なくなり、近くのモノも遠くのモノも平面的に写ると言う事じゃよ」
M「これも広角レンズと真反対ですね。じゃあ、広角レンズみたいに被写体の形が歪むのも無し?」
K「そうじゃな。だから、形が歪んではいけない商品撮影には、望遠レンズが使われることが一般的なのじゃ」
M「なるほど……被写体の形を正確に写したいときは、広角側を使わずに望遠側で撮ればいいのね」
ピントが浅い
K「次に3番目の「ピントが浅い」というのは、被写界深度が浅くてピントが合って見える範囲が狭いと言う事じゃ」
M「つまり、ピントをぼかしやすいと言う事ですね?」
K「そうじゃな。画面内がゴチャゴチャしていて、主題の被写体だけを主張したい時は便利じゃな」
M「なるほど、被写体だけにピントを合わせて、必要無い部分はぼかせばいいのか」
K「ただし、ピントというのはイメージセンサー(撮像素子)と平行な「面」で合うので、被写体と同じ平面上ではぼかすのはできないのじゃ」
M「ん?どういうこと?」
K「簡単に言うと、被写体と同じ平面上はピントが合うので、ぼかしたいモノは被写体の前後に配置するようにアングルを決めるのじゃ」
M「ああ、なるほど!被写体の前後にしかボケはつくれないと言う事か……だから前ボケとか後ボケとか言うんですね」
K「そうじゃよ。横ボケという言葉は聞いたことがないじゃろう?(笑)」
むーちゃんが学んだ望遠レンズの特徴
- 大きく写せて、写り込む背景の範囲が狭い
- 圧縮効果が強く、遠近感が少なくなるので被写体が歪みにくい
- ピントが浅いので、ボケをつくりやすい