ケンケン(以下K)「むーちゃんは「写真の神は四隅に宿る」という言葉を聞いたことがあるかな?」
むーちゃん(以下M)「? どこかで似たような言葉は聞いたことありますが……」
K「そうじゃろうな……実はこの言葉はケンケンが勝手に作った言葉なのじゃ(笑)」
M「でしょう?私の聞いた事のあるのは「神は細部に宿る」です(笑)」
K「「神は細部に宿る(God is in the details)」は、いつ頃から言われ始めた言葉かわからないが、ケンケンの好きなドイツの建築家ミース・ファンデル・ローエがよく使ったことで知られているのじゃ」
M「肝心の意味はどういう事?」
K「目立たない細かな部分まで手を拭かずに仕上げることで、作品の完成度が決まるということじゃな」
M「写真とどう関係があるの?」
K「写真のクオリティーを高めたければ、細部(四隅)まで心を込めよということじゃ」
M「ふーーーーん」
K「ところで、むーちゃんは四隅のない写真を見たことあるかな?」
M「そう言われてみると……雑誌の切り抜き写真以外ではないですね」
K「丸いフォーマットの写真があっても面白そうじゃが見たことがないじゃろう?魚眼レンズや宙玉レンズの球体写真も必ず背景を含めて四角いフレームに納まっておる」
M「そう言われるとそうですね……四隅が必要なんですね」
K「そうじゃ、四隅には神が宿るので、切り捨てるとバチがあたるのじゃよ」
そろそろ真面目にお願いします……
M「実際、四隅をどう扱えばいいの?いくら神が宿っていてもお祈りするワケではないでしょう(笑)」
K「むーちゃんは、毎回シャッターを押す前にちゃんと四隅を見ているかな?」
M「ああ……そう言われてみると、主役ばかりに気を取られて全然みてないですね」
K「四隅を無視してるのじゃな。四隅を大切に扱うと、見違えるほど写真のクオリティーが高まるのじゃ」
M「わかりました。四隅の神様にまで注意力を分散できるようにガンバってみます」
K「日頃から「指フレーム」で練習してみると良いのじゃ」
M「ああそうか、「指フレーム」ならカメラを持ち歩いていない時も練習できますね」
四隅にそれぞれに異なるモノを置く
K「具体的な方法じゃが、四隅にそれぞれに異なるモノが来るように構図を調整してみると良いのじゃ」
M「四隅だから、4つの異なるモノが来るようにするんですね」
K「そうじゃが、4つと言っても別々の被写体が4つ来なくても良いのじゃよ。例えば人物の写真なら左上の角が「窓」で、あとの3つは時計回りに同じ人物の「髪」と「腕」と「服」でも良いのじゃ」
M「なるほど、風景なら「青空」と「木の葉」と「同じ木の幹」と「芝生」でも良いわけですね」
K「そうじゃが、これは簡単な様で意外と難しいのじゃよ。でも、バッチリ決まるとかなりインパクトのある写真になるのじゃ」
M「え?意外と難しいの?無理なときはどうすれば良いの?」
四隅にそれぞれ違ったモノが置けない時
K「どうしても無理で、同じモノ同士が複数の角にダブって来た場合は、それぞれの角にできるだけ変化をつけるのじゃ」
M「変化って?」
K「ほら、いろいろ勉強しただろう?「大きさ」や「色」や「明るさ」や「ピント」で変化をつけるのじゃ」
M「ああ、そういうことか……上の両角と下の両角で同じ芝生で挟まれた構図になっても、それぞれ角の芝生の入る広さを変えたり、左上を明るくしたり、右下の方にピントを合わせたりすれば良いのか」
K「そのとおりじゃよ。4つの角が少しでも同じモノからそれぞれ違うモノに見えるように、変える努力をしてみるのじゃ」
M「うんうん、わかる気がします」
K「もし、四隅に同じモノが来て、4つの角が全て同じ広さで、色も明るさもピントも同じだったら……」
M「あ!それってひょっとして「日の丸構図」になってしまいますね」
「日の丸構図」は悪い構図ではない
K「そのとおりじゃな。よくわかったね。今までの話はイコール「日の丸構図」を避けるための方法でもあったのじゃよ」
M「「日の丸構図」ってそんなにダメな構図なんですか?」
K「「日の丸構図」はダメな構図ではなく、「日の丸構図」で撮りたいときには必要な構図なのじゃ」
M「え?え?どういう事?」
K「つまり、初心者が何も考えずに写真を撮ると、ほとんどが自然と「日の丸構図」になってしまうのじゃよ。今日の話は、その悪習慣から脱却するための話でもあったわけなのじゃ」
M「なるほど……そう言う事だったのか。でも神様まで出さなくても良かったんじゃない?(笑)」
むーちゃんの写真上達のポイント
- 写真の神は四隅に宿る
- 写真のクオリティーを高めたければ、細部(四隅)まで心を込めよ。
- 四隅にそれぞれに異なるモノが来るように構図を調整してみる。
- 同じモノ同士が複数の角にダブって来た場合は、それぞれ変化をつける。
- 変化は「大きさ」や「色」や「明るさ」や「ピント」で差をつける。
- 「日の丸構図」はダメな構図ではなく、必要な時もある。
- 全ての構図が「日の丸構図」にならないように意識しよう。